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2021/9/22

総合 - ドイツ経済ニュース

コロナ「2Gルール」を大半の州が導入

この記事の要約

飲食店の入店者やイベントの参加者を新型コロナウイルスワクチンの接種完了者などに制限する「2Gルール」を導入する州が増えている。これまでに国内16州のうち11州が導入したか導入を検討中だ。ドイツではコロナ感染防止のための「 […]

飲食店の入店者やイベントの参加者を新型コロナウイルスワクチンの接種完了者などに制限する「2Gルール」を導入する州が増えている。これまでに国内16州のうち11州が導入したか導入を検討中だ。

ドイツではコロナ感染防止のための「3Gルール」が8月23日付で施行された。3Gは「Geimpfte(ワクチン接種完了者)」「Genesene(コロナ感染からの快復者)」「Getestete(検査で陰性を証明された人)」の略。飲食店(屋内)やホテル、理容・美容院を利用したり、屋内イベントに参加する場合、あるいは病院や老人ホームを訪問する場合、3Gのどれかに該当することの証明が義務付けられている。基本的に、人口10万人当たりの直近7日間の新規感染者数が35人以上の地域で適用される。陰性証明書の有効期間はPCR検査で48時間、迅速抗原検査で24時間となっている。

2Gは飲食店などを利用できる人を接種完了者と快復者に制限するというもの。接種完了ないし快復証明書を提示すればよい。8月下旬のハンブルクを皮切りに採用する州が増えている。

これらの州の大半は2Gか3Gかの選択を店主や主催者の裁量に委ねている。州により個々のルールは異なるものの、2Gを選ぶと社会的距離や入客数規制が免除されることから、店側は座席間の距離を広く取る必要がなくなり、売り上げを増やしやすくなる。店内の制限緩和は顧客にとってもメリットだ。スーパーなどの小売店は対象外で、マスク着用などの義務を順守すればこれまで同様、証明書の提示なしに誰でも利用できる。

ラインラント・ファルツ州は「2Gプラス」というルールを導入した。2Gと3Gの選択を店・主催者側に委ねつつも、3Gを選択した店舗・イベントでは感染状況の深刻度に応じて陰性証明提示者の入店・参加数を制限するというもの。バーデン・ヴュルテンベルク州は店主などの裁量に任せるのではなく、感染状況が警戒水準に達した場合、2Gを自動的に適用する。

接種完了者と感染からの快復者も新型コロナに感染する。ただ、感染する確率と感染した場合に重症化・死亡するリスクは極めて低く、各地域や国全体の集中治療体制の大きな負担とはならない。密室にいる全員が新型コロナの抗体を持っていれば感染者が混じっていても集団免疫が働き、感染が広がりにくいという事情もある。コロナ制限措置が憲法で保障された自由を制限しているという問題も踏まえ、多くの州は2Gの採用に踏み切った。

ただ、2Gを採用したレストランなどは脅迫や嫌がらせ、ネット上での悪意ある書き込みといった被害をしばしば受けている。常連客を失う恐れもあることから、店側は難しい決断を迫られることになる。

2Gルールをすでに導入したのはバーデン・ヴュルテンベルク、ベルリン、ブランデンブルク、ハンブルク、ヘッセン、ラインラント・ファルツ、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン、ニーダーザクセンの8州。ザクセン、ザクセン・アンハルト、テューリンゲンの3州も計画ないし検討中だ。

ノルトライン・ヴェストファーレンやバイエルン州では導入しない。2Gは社会を分断する恐れがあるとみている。