建設テックの独シュットフリックスは9月30日、既存と新規の投資家から事業資金5,000万ドル強を調達したと発表した。ドイツ国内の事業基盤を確立したことから国際化に着手。大きな成長が見込めるオーストリア、ポーランド、チェコの周辺3カ国に来年、進出する。
同社は独西部のギュータースローに本社を置く2018年設立のスタートアップ企業。建設用の砂、砂利、小石の売買と輸送を仲介するプラットホームを運営している。メーカー1,500社、運送会社2,500社が登録している。建設業者などの顧客がアプリで発注すると、条件に見合った製品が建設現場などに輸送される。輸送会社は自動的に選定される。売上高は今年、昨年の4倍の5,000万ユーロに拡大する見通しだ。
同社が登場したことで、これまで地域ごとにばらばらで不透明だった市場が全国的に一体化し透明性が確保されるようになった。これを高く評価する顧客の建設大手から東欧市場への進出を要請されたことから、その第一弾として周辺3カ国に事業エリアを拡大することにした。
東欧では鉄道や道路建設需要が旺盛。欧州経済の構造転換を図る欧州連合(EU)の「欧州グリーンディール」とコロナ禍で打撃を受けた経済を立て直すための「復興基金」を追い風に今後も市場の拡大が続くと見込まれている。シュットフリックスのクリスティアン・ヒュルゼヴィヒ最高経営責任者(CEO)は『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に、「わが社は大手企業の大型プロジェクトのパートナーとなった」がゆえに東欧市場に進出すると述べた。
今回の資金調達には既存の投資家である英テック系ベンチャーキャピタルのドレーパーエスプリのほか、墺建設大手シュトラバクなどが応じた。