三菱ケミカルはこのほど、独南部のヴィスバーデン工場でポリエステルフィルムの生産能力を増強すると発表した。世界需要の拡大を見据えたもので、2018年稼働の米国・サウスカロライナ工場、22年稼働予定のインドネシア・ジャカルタ工場に続く増産投資となる。
グループ会社三菱ポリエステルフィルム(MFE)が運営するヴィスバーデン工場に約1億1,000万ユーロを投じ製造ラインを新設する。年産能力は2万7,000トン。24年末の完成を予定している。
MFEは工業用途やラベル用途などの高機能ポリエステルフィルムを顧客の要求に合わせてカスタマイズする技術開発力に強みを持ち、欧州市場で高いシェアを持つ。これまでは拡大する需要にグループの他拠点からの調達や既存設備の効率的な運用で対応してきたが、市場のさらなる成長を見据え増産投資に踏み切る。
新設する設備では省エネ設備の導入などを通し工場全体の二酸化炭素(CO2)排出量削減を目指す。また、顧客や消費者から回収した使用済みのポリエステルフィルムを原料として再利用する装置を導入し、循環型経済の実現に向けた取り組みを加速する。
MFEは独ヘキストと1991年に共同設立した合弁会社ヘキストダイアホイルを前身とする会社。1998年に三菱化学(現三菱ケミカル)の完全子会社となり、社名が現在のものに改められた。