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2021/11/10

総合 - ドイツ経済ニュース

ブースター接種を全面解禁、新規感染者は2日連続で記録更新

この記事の要約

ドイツのイェンス・シュパーン保健相と国内16州の保健相は5日の会議(GMK)で、新型コロナウイルス用ワクチンの接種完了者が全員、追加免疫(ブースター)接種を受けられるようにすることで合意した。国の予防接種常任委員会(ST […]

ドイツのイェンス・シュパーン保健相と国内16州の保健相は5日の会議(GMK)で、新型コロナウイルス用ワクチンの接種完了者が全員、追加免疫(ブースター)接種を受けられるようにすることで合意した。国の予防接種常任委員会(STIKO)はブースター接種勧告の対象を高齢者や基礎疾患の持ち主、医療・介護関係者に制限しているが、新規感染者の急増でブースター接種の対象拡大を求める声が強まっていることから、GMKは“全面解禁”を決議した。新規感染者数は2日連続で過去最高を更新していた。

同国では現在、12歳以上であれば新型コロナワクチンの接種を受けることができる。今回の会議では接種完了から6カ月が経過すれば、誰でも接種を受けられるようにすることが取り決められた。連邦保健省の8月30日付「コロナウイルスワクチン接種省令」では全接種完了者にブースター接種の権利を認めているが、STIKOが全面解禁を勧告していないこともあり、同サービスを提供する医療機関は少ないもようだ。

GMKの解禁決議を受け、ブースター接種が受けやすくなる。シュパーン保健相は会議後の記者会見で、ブースター接種を家庭医や公共のワクチン接種拠点・バスで受けられるようになると述べた。

ロベルト・コッホ研究所(RKI)の4日の発表によると、ドイツの新型コロナの新規感染者数は3日に3万3,949人となり、昨年12月18日に記録した過去最高を172人上回った。4日にはさらに3万7,120人へと増加。前週同日(2万4,668人)から50%も拡大した。

人口10万人当たりの直近7日間の新型コロナ新規感染者数(7日間の発生数)も増え続けており、8日には201.1人となり、これまでの最高である197.6人(昨年12月22日)を上回った。200人を超えたのは初めてだ。9日にはさらに213.7人へと拡大した。増加のスピードは10月下旬以降、加速している。

入院・集中治療患者数も増えており、集中治療を受けるコロナ患者は8日時点で2,616人となり、同週同日から27%増加。コロナ患者による集中治療病床の使用率は9.4%から11.8%へと上昇した。シュパーン保健相は新規感染者の約0.8%が感染の10~14日後に集中治療室に運び込まれている現状を指摘。1日当たりの感染者が4万人であれば、そのうちの300人以上は集中治療を受けることになるとして、状況は今後、一段と悪化するとの見通しを示した。

バイエルンとザクセンは2Gを義務化

感染者の急増を受け一部の州は感染防止策を強化している。バーデン・ヴュルテンベルク(BW)州は病院で集中治療を受ける新型コロナ患者数が高水準に達したことから、州政令に基づき3日付でこれまでよりも厳しい制限措置を導入した。

同政令ではコロナの感染状況を「基礎ステージ」「注意ステージ」「警戒ステージ」の3段階に分類している。注意ステージは住民10万人当たりの直近7日間の新規入院患者数(7日間の入院患者数)が8人以上、ないし州内の集中治療ステーションで治療を受ける患者数が250人以上となった場合、警戒ステージは7日間の入院患者数が12人以上、州内の集中治療患者数が390人以上となった場合にそれぞれ発動される。同州では集中治療患者数が今月2日に2日連続で250人を上回ったことから、翌3日付で注意ステージが発動された。

これを受け屋内の飲食店、博物館、劇場などを利用できるのは、ワクチン接種完了者、コロナ感染からの快復者、PCR検査で陰性を証明した人に制限されている。PCR検査の有効期間は48時間。迅速抗原検査は認められていない(飲食店の屋外テーブルで食事する場合は迅速抗原検査も認められる)。いわゆる「2G」ルールを採用している飲食店でも従業員と顧客はマスク着用を義務付けられるようになった。

2Gはコロナ感染防止策のひとつで、「3G」とともに8月下旬から全国で実施されている。3Gは「Geimpfte(ワクチン接種完了者)」「Genesene(コロナ感染からの快復者)」「Getestete(検査で陰性を証明された人)」の略。飲食店やホテル、理容・美容院を利用したり、屋内イベントに参加する場合、あるいは病院や老人ホームを訪問する場合、3Gのどれかに該当することの証明が義務付けられている。

2Gは飲食店などを利用できる人を接種完了者と快復者に制限するというもの。接種完了者と快復者は感染・重症化リスクが比較的低いことから、マスク着用や社会的距離規制の適用を基本的に免除される。BW州では注意ステージの発動に伴い、2G採用店にもマスク着用が義務付けられた。

感染状況が特に深刻なバイエルンとザクセン州ではより厳しい規制が実施されている。ザクセン州政府は飲食店や美容・理容院、映画館、劇場、大型イベントなどを対象に8日付で2Gルールを義務付けた。ワクチンの非接種者はレストランの屋内で食事をしたり、サッカー観戦をすることができない。ミヒャエル・クレッチュマー州首相は、全面的なロックダウンを回避するためには2G導入が必要不可欠だとしている。小売店は誰でも利用できる。

バイエルンでも9日付で2Gが義務化された。ただ、飲食店やホテル、美容・理容院についてはPCR検査で陰性を証明すれば非接種者もこれまで同様に利用できる。

このほか、屋内の公共空間と公共交通機関では感染防止効果の高いFFP2マスクの着用が義務化され、医療用マスク(OPマスク)は認められなくなった。また、小売店と公共交通機関を除く従業員10人以上の職場では3Gルールが適用されるようになった(非接種者の検査は週2回。迅速抗原検査可)。同州では感染防止策が7日に強化されたばかりだが、集中治療体制がひっ迫してきたことから、9日にさらに厳しい措置が導入された。

ヘッセン州も11日から規制を強化する。飲食店や屋内イベント、見本市、スポーツ施設などは引き続き3Gを採用できるものの、非接種者の陰性証明はPCR検査以外、認められなくなる。参加者5,000人以上の大型イベントでは非接種者の割合が最大10%に制限される。

また、小売店や公共交通機関、美容・理容院など顧客と物理的に接触する職場には3Gルールが適用され、接種を受けていない従業員は週に2回、勤務先が提供する迅速抗原検査を受けることが義務付けられる。接種完了者と感染からの回復者は証明書(「デジタルCovid証明書」など)を提示することで検査を免除される。