独中堅製薬会社ドクター・ファルク・ファーマは2日、バイオ医薬品開発の独ゼディラと共同でグルテン不耐症であるセリアック病の治療薬でフェーズ2b臨床試験を開始すると発表した。セリアック病の治療薬は現在、存在しないことから、開発に成功すれば患者には朗報となりそうだ。
セリアック病は小麦やライ麦のタンパク質グルテンに対する遺伝性の不耐症。トランスグルタミナーゼという小腸の酵素がグルテンを変質させる結果、免疫システムがこれを異物として認識し攻撃することから、小腸の粘膜が損傷し、栄養素の吸収が阻害される。下痢、倦怠感、体重減少などを引き起こす。人口の最大2%が該当する。
両社はゼディラが創薬した治療薬「ZED1227」でフェーズ2bを実施する。ZED1227はトランスグルタミナーゼに作用することで免疫反応が起こらないようにする医薬品。これまでの治験で薬効、安全性、忍容性が確認されており、開発への期待は大きい。フェーズ2bは欧州の患者400人を4グループに分けて行う。
ドクター・ファルクは同薬の欧州ライセンスをゼディラから取得した。このため治験は同社の責任で実施する。
セリアック病患者はグルテンフリーの食品を摂取することで発症を避けている。ただ、加工食品のなかには少量のグルテンが混入することがあり、そうした食品を食べると症状が出る。ZED1227が認可されば、患者の残存リスクは低減する。