新型コロナウイルスの感染が再拡大している欧州で、再びロックダウン(都市封鎖)の動きが広がってきた。オランダ政府は12日、全土で部分的なロックダウンを13日から3週間にわたって実施すると発表。オーストリア政府はワクチン未接種者の行動を厳しく制限する措置を15日付で開始した。西欧諸国で夏以降にこうした措置に踏み切るのは初めてだ。
オランダではスーパーなど生活必需品を扱う店が午後8時に閉店。それ以外の店舗は午後6時に閉店となる。スポーツイベントは無観客で行われる。ソーシャルディスタンシング規制も再導入された。
オランダではワクチン接種率が85%近くに達しているが、感染が急増しており、12日の新規感染者は1万6,000人を超え、過去最高を更新した。政府は10月時点で、ワクチン接種率が高いことから制限措置強化は不要との見解を示していたが、方針転換を迫られた。ルッテ首相は可能な限り在宅勤務とするよう呼びかけた。
オーストリアのワクチン接種率は西欧で最低クラスの約65%。未接種者が人口の3割以上を占める。政府は接種を促進し、感染拡大を抑えるため、未接種者の行動制限を実施すると14日に発表した。接種対象となっている12歳以上が対象で、生活必需品の買い物、通勤などを除く不要不急の外出が禁止された。
実施期間は10日間の予定。警察がパトロールを強化して外出者がワクチン接種済みかどうかをチェックし、違反者には最高1,450ユーロの罰金を科す。
オーストリアでは新型コロナ感染者が過去最高水準となっており、14日に確認された新規感染者は1万1,552人に達した。直近1週間の10万人当たりの新規感染者は775人に上る。接種完了者は10万人当たり383人にとどまっているのに対して、未接種者は同1,700人を超える。
政府は先ごろ、未接種者が飲食店、ホテル、劇場などに入ることを禁止したが、感染者が急増して医療ひっ迫が懸念されることから、さらに厳しい制限措置に踏み切った。