ルフトハンザ―決議権のない出資を国に完済―

航空大手の独ルフトハンザは12日、コロナ禍に伴う経営悪化を受けて国から受けていた支援のうち決議権のない出資を同日付で完済したと発表した。国の政策金融機関KfWから受けた融資10億ユーロは2月に全額返済していることから、国は支援時に取り決めた契約に基づき保有するルフトハンザ株を売却しなければならず、同社は公的支援を脱却することになる。

ルフトハンザはコロナ禍で経営が急速に悪化した昨春、政府と交渉し総額90億ユーロの支援枠を確保した。具体的には◇KfWが民間銀行と共同で30億ユーロの協調融資を行う◇国の経済安定化基金(WSF)が決議権のない出資を最大57億ユーロ実施するほか、第三者割当増資も引き受けて株式20%を1株当たり2.56ユーロで取得する――を取り決めた。

実際に国から受けた支援額は合わせて約38億ユーロだった。内訳はKfWの融資が10億ユーロ、WSFによる決議権のない出資が計25億ユーロ、WSFによる新株の引き受けが3億600万ユーロ。

ルフトハンザは業績が回復に向かっていることを利用し、昨年11月から今年11月9日までに社債、転換社債、新株の発行を通して計およそ80億ユーロの市場資金を調達した。その一部を国の支援の返済に充てている。

決議権のない出資25億ユーロについては10月に15億ユーロを返済。今月12日にさらに10億ユーロを返し、返済を終了した。

ルフトハンザが決議権のない出資を完済した後に株価がWSFの昨年の取得価格(2.56ユーロ)を超えた場合、WSFは全保有株を時価で売却することを契約で義務付けられている。同社の株価は現在6ユーロ台に上っていることから、WSFは2023年10月までに全保有株を手放さなければならない。現在の持ち株比率は約14%で、すでに当初の20%から低下している。

ルフトハンザは国の支援を受けていたため、これまではボーナス支給の禁止や他社買収の制限など経営上の自由が制約されていた。

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