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2021/11/24

総合 - ドイツ経済ニュース

非接種者への圧力強化、職場・公共交通機関で陰性証明義務化

この記事の要約

新型コロナウイルスワクチンの接種を受けない人への圧力をドイツ政府と州政府が強化する。新規感染者が急増し、地域によってはすでに集中治療病床が不足するなど、医療崩壊の懸念が強まっているためだ。連邦議会(下院)と州の代表からな […]

新型コロナウイルスワクチンの接種を受けない人への圧力をドイツ政府と州政府が強化する。新規感染者が急増し、地域によってはすでに集中治療病床が不足するなど、医療崩壊の懸念が強まっているためだ。連邦議会(下院)と州の代表からなる連邦参議院(上院)は次期与党3党が作成した感染防止法改正案を19日までに可決。アンゲラ・メルケル連邦首相と国内16州の首相は18日の会議(連邦・州首相会議)で規制強化などを取り決めた。

来月に次期政権を樹立する見通しの社会民主党(SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)の3党は10月27日、感染防止法の改正方針を打ち出した。その時点ではコロナ規制を緩和する考えを表明。特に、これまで厳格な感染防止策の法的な根拠となってきた「全国的なエピデミック状況」認定ルールを廃止し、同ルールに基づく大幅な人権制限措置を実施できなくする意向を明確に示した。全国的なエピデミック状況認定が失効する25日以降は、制限措置をマスク着用や社会的距離など緩やかなものにとどめるとともに、感染力の高い新たな変異株が出現するなどして状況が悪化しない限り来年3月20日までに規制を全面解除する考えだった。

だが、感染者数はその後、急速に増加。人口10万人当たりの直近7日間の新規感染者数は18日に353.1人となり、10月27日(同130.3人)から2.7倍に拡大した。状況改善の兆しは出ていない。

このため規制緩和方針に対しては、具体的な制限措置を策定・実施する州政府だけでなく、専門家の間からも批判が殺到。次期与党3党はこれを受け、規制を当初法案よりも厳格化した。

職場の3Gルールは24日から

これを受け職場と公共交通機関には24日から「3G」ルールが適用されることになった。3Gは「Geimpfte(ワクチン接種完了者)」「Genesene(コロナ感染からの快復者)」「Getestete(検査で陰性を証明された人)」の略。同ルールの適用対象となった施設・場所に入るためには接種完了、感染からの快復、陰性のいずれかを証明することが義務付けられる。陰性証明のない非接種者はバスや鉄道を利用できないうえ、職場への立ち入りも禁止される。

3G証明が陰性証明の場合は職場で基本的に毎日、提示しなければならなくなる。迅速抗原検査の有効期間が24時間となっているためだ。雇用主は社員に週2回の無料検査提供を義務付けられているが、出社日数が週3回以上の被用者は出社日数と雇用主による無料検査日数の差を自ら埋めなければならない。連邦労働省は国のコスト負担で提供されている無料の「市民検査(Buergertest)」を利用できるとしている。

在宅勤務の義務も再導入される。雇用主は出社せずとも業務を行える被用者に対し在宅勤務を提案しなければならない。被用者も自宅で仕事ができない理由がない限り、これを受け入れる義務がある。

出社しなければ勤務を行えない非接種の被用者は陰性証明の提示を拒否した場合、欠勤扱いとなりその分の給与を受給できなくなる。また、警告処分の対象となり、処分が累積すれば解雇され得る。

雇用主は職場で3Gルールが守られるようにすることを義務付けられる。このため被用者に3Gのいずれかを証明する文書(紙ないしデジタルベース)の提示を要求し、記録することができる。職場の順守状況を監督当局が立ち入り調査で調べる可能性もあるため、チェック記録を取っておくことは重要だ。被用者も接種証明や陰性証明を常に携帯する必要がある。違反には最大2万5,000ユーロの罰金が科される。

状況判断・対策は3段階で

州政府は感染状況に応じて「2G」ルールを導入できる。2Gは「ワクチン接種完了者」と「コロナ感染からの快復者」を指す。同ルールの適用対象となった飲食店や施設に入ったりイベントに参加できる人は接種完了者と快復者に制限される。非接種者は行動可能な範囲が狭まることになる。

新型コロナの入院患者数が高水準に達した場合、州政府は「2Gプラス」ルールを導入できる。接種完了者と快復者に陰性証明の提示を義務付けるというもので、規制度は2Gより高い。さらに、州議会の決定があればクリスマスマーケットや観戦試合などのイベントも禁止できる。

一方、店舗営業禁止や学校閉鎖、外出・旅行・宿泊制限を特定の地区や州全域に適用することはできなくなる。これまでは全国的なエピデミック状況認定を根拠にこれらの措置が実施されてきたが、次期与党は人口の3分の2がワクチン接種を完了した現在の状況下では違憲だと判断。同認定ルールの廃止を決めた。

これに対し、下野が確実となっているキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)は同ルールがなくなると、感染状況の大幅悪化に対処できなくなると批判。CDU/CSUが政権を握る州は連邦参議院で3党の改正法案を阻止する意向を示していたが、次期首相に就任する見通しのオーラフ・ショルツ副首相(SPD)が同法案の効果を12月9日に開かれる次回の連邦・州首相会議で検証し、必要があれば規制をさらに強化することを確約したことから、CDU/CSUは態度を軟化させ、19日の連邦参議院では同法案が全会一致で可決された。否決された場合は、コロナ規制の法的根拠が25日以降、なくなる恐れがあった。

18日の連邦・州首相会議には政権移行に伴う混乱を避けるため、ショルツ次期首相(予定)も参加した。会議では改正法案に沿った形で新型コロナ規制を決定するとともに、これまで州によって異なっていた感染状況の判断基準と対策を統一することを取り決めた。今後は10万人当たりの直近7日間の新規入院患者数(7日間の入院患者数)を規準とする。

具体的には感染状況を3段階に分類。同数値が3人を超えた場合は州全域に2Gを適用する。余暇施設・イベント、文化施設・イベント、スポーツイベントと運動、飲食店、美容・理容院など顧客との接触を伴うサービス店、宿泊施設が対象となる。

同5人を超えた州では2Gプラスが適用される。

9人超の州は改正法で認められる範囲内でより踏み込んだ制限措置を実施する。州議会の承認が必要となる。