不動産バブル崩壊の恐れ=中銀、インフレ率上昇は銀行のリスク要因

ドイツ連邦銀行(中銀)は11月25日に公開した金融市場の安定性に関するレポートで、同国の不動産バブルリスクが大幅に高まっているとの見方を示した。不動産価格が適正水準を大きく上回っているうえ、インフレ率の上昇で金利リスクも高まってきたためだ。連銀のクラウディア・ブーフ副総裁は「現在は将来のリスクの予防策を講じる適切な時期だ」と述べ、金融機関に対策を促した。

住宅価格は昨年1年間だけで平均6.7%も上昇した。連銀が市民を対象に実施したアンケート調査では、90%が今後さらに上昇すると予想している。不動産融資額も年率7.2%増と伸び率が大きい。

低金利を背景に住宅投資の拡大が続いていることから、住宅価格は現在、家賃などをもとに算出される適正水準を10~30%も上回っている。これは人口集中地域以外にも当てはまるようになっており、ファンダメンタルズと実勢価格の乖離は広い地域に及んでいる。

連銀は住宅融資の基準を銀行が緩和していることにも懸念を示した。住宅融資の約半分は現在、固定金利期間が10年超と長くなっている。このところ急速に上昇したインフレ率が中長期的に高水準で推移し金利が大幅に上昇すると、銀行は資金調達コストが大きく膨らむ一方で住宅融資の金利収入が低水準にとどまるという板ばさみ状態に陥る懸念がある。連銀によると、金利上昇リスク対策の不備は中小の金融機関で目立つという。

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