独自動車大手ダイムラーの戦略提携先である中国の北京汽車(BAIC)が2019年から同社の筆頭株主になっていたことが13日、明かになった。ダイムラーのトラック・バス子会社ダイムラー・トラック・ホールディングが10日に上場したことを受け、BAICが明らかにした。中国競合の浙江吉利がダイムラーの大株主となったことに対抗する狙いがあるもようだ。
ダイムラーはダイムラー・トラックの上場に際し同子会社株の65%を自社の株主に付与したことから、BAICがダイムラー株9.98%を保有する筆頭株主であることが判明した。これまでは出資比率が5%とされていた。
BAICとダイムラーは03年に戦略提携し、乗用車、バン、トラックの生産、研究開発、販売で協業してきた。ダイムラーは13年、BAICの乗用車子会社BAICモーターに出資。現在は9.55%を保持している。BAICの電動車子会社であるBAICブルーパーク・ニュー・エナジーの資本も2.46%保有する。
吉利は18年2月、ダイムラー株9.69%を取得し筆頭株主となった。同年10月には配車サービスの合弁会社をダイムラーと共同で中国に設立することで合意。19年3月には、ダイムラーの超小型乗用車ブランド「スマート」を吉利との合弁会社へと改めることも取り決めた。スマートの電気自動車(EV)を中国で生産し、来年から販売することになっている。
BAICはダイムラーへの吉利の急接近に危機感を持ち、出資比率をひそかに引き上げて筆頭株主となったもようだ。BAICが英銀HSBCを通してダイムラー株およそ5%を確保したとの観測は19年12月時点で浮上していた。