ECBが緊急資産購入措置を3月末に終了

欧州中央銀行(ECB)は16日に開いた定例政策理事会で、コロナ禍対応として実施している緊急資産購入プログラムを予定通り2022年3月末に打ち切ることを決めた。ユーロ圏で物価が急上昇していることから、金融正常化の方向に舵を切る。ただ、「オミクロン株」の感染拡大など景気の不安材料があるため、コロナ禍前から実施している資産買い取り制度は継続する。

終了するのは「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」と呼ばれる国債、社債などの資産を買い入れる措置。ECBが新型コロナウイルスの感染拡大で揺れるユーロ圏経済を下支えするため、2020年3月に導入した。

一方、従来の資産購入プログラム(APP)に基づく毎月の買い入れは、PEPP打ち切りによる影響を緩和するため、22年4-6月期に現在の200億ユーロから400億ユーロに拡大する。7-9月期には300億ユーロとし、10月以降は200億ユーロに戻す。

APPはユーロ圏のデフレ回避と景気下支えを目的に2015年3月に導入された異例の量的緩和策。18年12月に打ち切られたが、米中貿易摩擦などの影響で景気減速の懸念が強まり、物価も上がりにくい状況に陥った19年11月に再開された。

政策金利の引き上げに関しては、インフレ率が2.0%に達し、さらに当面は同水準を維持すると判断するまで現行水準かそれ以下にとどめるとするという姿勢を堅持した。最新予測に基づくと、利上げは23年以降となる見通しだ。

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