独航空大手ルフトハンザは24日、コンテナ海運大手のMSC(スイス)と共同で伊アリタリア航空の後継会社イタリア・トラスポルト・アエレオ(ITA)エアウェイズの共同買収を計画していることを明らかにした。ITAに買収を打診済みで、独占交渉に応じるよう求めている。
ルフトハンザとMSCはITAの過半数株式を伊政府から取得する計画。政府が承認すれば、ITAは独占交渉に入るかどうかを決定する。ルフトハンザとMSCが求めている交渉期間は90日。
2001年の米同時テロ以降に経営が悪化したアリタリアは、身売りによる生き残りを模索したが実現せず、17年に経営破綻し、20年に国有化された。後継のITAは政府が20年10月に設立した100%出資の航空会社で、規模を縮小したうえで21年10月に運航を開始した。
ITAのアルタヴィラ会長は昨年12月、同社は欧州の大手航空会社に規模で対抗できず、厳しい経営が続くことから、欧州などの企業と資本提携に向けた非公式の交渉を行っていることを明らかにしていた。
アルタヴィラ会長は英『フィナンシャル・タイムズ』紙に、「非常に引き付けられるソリューションだ」と述べ、両社の提案に前向きの姿勢を示した。
取引が成立すると、ルフトハンザは欧州での事業基盤を強化できる。MSCには航空貨物事業に進出するという利点がある。