独カナダ系の資源会社ロック・テック・リチウムは2日、車載電池材料の新工場建設をエンジニアリング大手の独ビルフィンガーに一括委託することで基本合意したと発表した。ビルフィンガーはロック・テックがドイツ東部のブランデンブルク州に設置する水酸化リチウム工場のEPCM(設計エンジニアリング、調達、建設、管理)を引き受ける。
ロック・テックは昨年10月、ブランデンブルク州グーベンに欧州初の水酸化リチウム工場を建設する計画を発表した。投資額は最大4億7,000万ユーロ。計画が順調に進めば、2024年から生産を開始する。カナダのオンタリオ州ジョージア湖で自ら採掘するリチウムを使用して水酸化リチウムを製造する。年産能力は電動車50万台分の需要に相当する2万4,000トン。160人の雇用を見込んでいる。
当局の補助金交付を工場設置の前提条件としているが、これまでのところ確保していない。また、ジョージア湖の鉱山は現時点で採掘許可が下りていない。さらに顧客も獲得しておらず、先行きは不透明だが、ディルク・ハルベッケ社長は経済紙『ハンデルスブラット』に、年内にも最初の顧客を公表できるとの見通しを示した。
同紙によると、ロック・テックは水酸化リチウム工場を欧州に計5カ所、設置する計画。ドイツにはグーベンを含め2工場を建設するという。
ビルフィンガーは電池分野の建設プロジェクトですでに実績がある。フィンランドのハルヤヴァルタにある独化学大手BASFの正極材工場はビルフィンガーが手がけた。