シュタインマイヤー大統領再選、「民主主義を見くびるな」とロシアをけん制

独連邦議会議員と各州の代表からなる連邦集会が13日、ベルリンで開催され、現職のフランクヴァルター・シュタインマイヤー大統領(社会民主党=SPD)が再選された。他に3人が立候補したものの、シュタインマイヤー大統領は与党3党と野党第一党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)に支持され、1回目の投票で過半数を獲得。決選投票なしで選出された。任期は5年。

大統領は選挙後の演説で、「リベラルな民主主義は没落しつつあると言う人がいる。今世紀は権威主義者、強権主義者の時代だとの主張だ」と述べたうえで、未来はオープンだと指摘。「このオープン性に対し民主主義以上の回答を持つ者は誰もいない」と強調した。

また、ロシアのウクライナ侵攻懸念が強まっていることにも触れ、その責任はロシアにあると明言。「(ロシアの)プーチン大統領に対してはただこう警告できる。民主主義の強靭さを見くびるなと」と語気を強めた。

シュタインマイヤー氏は1998年から2005年まで首相を務めたゲルハルト・シュレーダー氏に見いだされて政界入り。官房長官と外相を務めた経歴がある。大統領には2017年3月に就任。今回の再選で2期目が確定した。

シュレーダー氏は現在、バルト海ガスパイプライン運営会社ノルドストリームと露石油大手ロスネフチの監査役会長を務め、ロビー活動を展開している。プーチン大統領と親しい関係にあり、ウクライナ危機に絡んでは先ごろ、ロシアの肩を持つ発言を行い、物議をかもした。東欧政策でシュタインマイヤー大統領との距離は大きくなっている。

ドイツの大統領は米国やフランスと異なり大きな政治的権限を持たない。ただ、議会で成立した法案に何らかの懸念や疑念がある場合は、署名を見合わせて発効を棚上げにすることもある。

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