連邦統計局のデータをもとにドイツ機械工業連盟(VDMA)が18日発表した同国の2021年の機械輸出高は前年比9.8%増の1,794億ユーロとなり、コロナ禍前の水準をほぼ回復した。新規受注が高水準で推移しているうえ、生産の大きな足かせとなっているサプライチェーンのひっ迫が改善してきたことから、今年は過去最高を記録すると見込んでいる。
21年の輸出高が最も大きかった仕向け先国は前年に引き続き米国で、13.9%増の207億ユーロを記録した。2位は中国で6.3%増の193億ユーロ。同国向けは年初に大きく伸びたものの、その後に失速し、第4四半期は前年同期を割り込んだことから、通年の伸び率が小さくなった。3位はフランスで、10.0%増の121億ユーロだった。
上位10カ国のなかではイタリアが22.6%増の87億ユーロ(4位)、英国が22.8%増の77億ユーロ(6位)と特に大きく伸びた。英国向けが好調だったのは、コロナ禍から経済が早期に回復したほか、設備投資額の130%を税控除する「スーパー控除」が21年4月から2年間の限定で導入されたためだ。
トルコ向けは8.9%増の39億ユーロ(14位)に拡大したものの、下半期に限ると前年同期を下回った。同国通貨リラの急落で輸入価格が膨らんでいることから、現地企業は外国製品の購入抑制を余儀なくされている。
ドイツの21年の機械輸入高は13.1%増えて792億ユーロとなった。輸入先1位は中国で31.1%増の97億ユーロを記録。これにイタリア(10.6%増の70億ユーロ)、米国(4.6%増の52億ユーロ)が続いた。日本は23.0%増の35億ユーロ(9位)で、上位10カ国のなかで伸び率が2番目に大きかった。
機械輸出を製品分野別でみると、額が最も大きかったのはこれまでに引き続き駆動技術で11.1%増の162億ユーロに上った。2位は物流技術(11.6%増の134億ユーロ)、3位は空調設備機器技術(13.8%増の133億ユーロ)となっている。データを公表している上位12分野のなかで前年を割り込んだ製品はない。農業機械は23.9%増、建設機械・建築資材製造機械は18.6%増と特に伸び率が大きかった。