2月の世界貿易5.6%減少、ウクライナ情勢の緊迫で

独キール世界経済研究所(IfW)は7日、2月の世界貿易高が物価・季節要因調整ベースで前月を推定5.6%下回り、新型コロナ危機が発生した2020年春以来の大幅な落ち込みを記録したと発表した。ウクライナ情勢の緊迫が響いた格好。調査担当者は「(ウクライナへのロシアの軍事侵攻が始まる前の)2月中旬時点で(貿易が)より低迷する月となることが見て取れた。(侵攻後の)対露制裁はこの傾向を強めている」と述べた。欧米や日本の対露制裁発動後、世界の物流は混乱しており、3月の貿易はさらに悪化する見通しだ。

2月の貿易を国・地域別でみると、ドイツは輸出が3.8%、輸入が3.9%落ち込んだ。欧州連合(EU)はそれぞれ2.8%減、1.6%減。米国は輸出が3.9%減ったものの、輸入は1.2%増加した。

ロシアは輸出が11.8%縮小した。同国最大のコンテナ取扱港であるサンクトペテルブルクは減少幅が17%に達している。同国の輸入は1.6%減と小幅な落ち込みにとどまった。

中国は輸出が0.3%増、輸入が1.6%減だった。これまでに引き続きオミクロン株の流行が同国の貿易の足かせとなっている。

IfWは船舶の移動データを、人工知能(AI)を用いてリアルタイムで分析し、計75カ国とEU、全世界の貿易高を推定している。

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