ウクライナでのワイヤーハーネス生産、自動車メーカーが支援

ロシアのウクライナ侵攻で供給が大幅に減っているワイヤーハーネスの確保にドイツの自動車メーカーが奔走している。ウクライナから他の国への調達先変更のほか、同国のサプライヤーが可能限り生産できるよう支援。完成車生産の正常化に努めている。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。

ウクライナはワイヤーハーネスの主要生産国。コンサルティング会社アリックス・パートナーズによると、欧州市場での同国製品のシェアは約7%に上る。ドイツに限るとシェアは大幅に高いという。

自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は調達や物流担当者およそ100人からなる対策本部を設立した。サプライヤーと連携しワイヤーハーネスの確保に取り組んでいる。その効果もあり、ヴォルフスブルク本社工場では21日から生産を1シフト体制ながら再開。来週には2シフト体制へと引き上げる。独東部のドレスデン、ツヴィッカウ工場でも4月初旬から再び生産を始める見通しだ。

ウクライナのワイヤーハーネス工場はロシアの攻撃が相対的に少ない西部地域に多い。現地当局が可能な限り業務を行うよう推奨していることもなり、大半の企業は生産を再開している。ただ、ロシア軍の攻撃をいつ受けてもおかしくないことから、安全対策も欠かせない。アウディのマルクス・デュースマン社長は、取引先のワイヤーハーネスメーカーが防空壕のすぐそばで生産活動を行っていることを明らかにした。

それでも同国で利用できる生産能力は本来の30%にとどまる。物流も障害が大きく、従来2時間で済んだポーランド国境までの輸送時間が24時間に延びることもあるという。

ルーマニアや北アフリカなど他の国での生産能力拡張をサプライヤーに要請する動きもある。ただ、これには3~6カ月の時間を要するため、効果が出るのは夏以降になる見通しだ。ワイヤーハーネスは労働集約型の製品であるため、工場は低賃金国に集中している。

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