ザールラント州議選で社民大勝、単独政権樹立へ

西南ドイツのザールラント州で27日に州議会選挙が行われ、即日開票の結果、同州第2党の社会民主党(SPD)が得票率を大幅に伸ばし、過半数議席を獲得した。第1党のキリスト教民主同盟(CDU)は同党のトビアス・ハンス州首相の人気が低く、得票率が大幅に低下。22年ぶりに第1党から転落した。SPDは昨年9月の連邦議会選挙に続く重要な選挙で大勝し、党勢拡大を継続した。

主要政党の得票率をみると、SPDは43.5%に達し、前回の29.6%から13.9ポイント増加。CDUは40.7%から28.5%へと12.2ポイント低下した。極右の「ドイツのための選択肢(AfD)」も6.2%から5.7%へと落ち込んでいる。

その他の政党は議席獲得に必要な得票率(5%)に届かなかった。特に急進左派の左翼党は州支部の内部対立とそれに伴う有力党員オスカー・ラフォンテーヌ氏(元同州首相)の離党が響き、12.8%から2.6%へと急落している。

緑の党と自由民主党(FDP)は得票率を伸ばしたものの、それぞれ4.9%、4.8%にとどまった。緑の党は5%に23票、足りなかった。ザールラント州は大都市が少なく、伝統的な製造業が強いことから、大都市の中所得層以上を主な支持基盤とする緑の党とFDPは勢力が小さい。

現職首相を擁する政党は通常、選挙戦を有利に展開できる。首相はメディアへの登場頻度が高く、政策の成果や親しみやすさをアピールできるためで、ドイツでは「現職ボーナス(Amtsbonus)」と呼ばれている。だが、ハンス州首相はコロナ政策などで一貫性がなかったことから有権者の不評を買い、CDUは大敗した。今回の投票に際し「州独自の争点」を最重視した有権者は68%に達し、「国政レベルの争点」(同27%)を大幅に上回っており、国政上の責任論議は起こらない見通し。

各党の獲得議席数はSPDが29、CDUが19、AfDが3で、合計は51。SPDは過半数ラインの26を超えていることから、単独で政権を樹立する意向だ。

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