ドイツ政府は8日、ロシアのウクライナ侵攻と対露制裁の影響を強く受ける企業への支援方針を発表した。経済の悪化を緩和することが狙い。クリスティアン・リントナー財務相は「この状況下で何もしないという選択肢はない」と強調した。欧州連合(EU)の欧州委員会はロシアへの経済制裁で悪影響を受ける域内企業への公的支援を認めることを3月23日に決定しており、独政府はその枠内で国内企業をサポートする。
具体的には資金繰りが悪化した企業が銀行から低利融資を受けられるようにする。プログラムの規模は最大70億ユーロ。貸し倒れリスクを政策金融機関のドイツ復興金融公庫(KfW)が引き受けることで、銀行の融資を促進する考えだ。
エネルギー価格高騰の影響を特に強く受ける企業に対しては補助金を交付する。総額は約50億ユーロ。エネルギー集約型の企業を想定している。
電力と天然ガスの先物取引を行う企業向けにはKfWを通して総額で最大1,000億ユーロの融資保証を引き受ける。これら商品の先物価格が急騰すると、企業は証拠金(取引参加に必要な担保金)の積み増しを要求され、資金繰りに行き詰まる恐れがあることから、そうした事態を避ける狙いだ。
経済・社会的な重要性が極めて高い企業の財務を安定させるために自己資本・ハイブリッド資本支援を行うことも検討する。
政府は今後、これら支援策の詳細を取り決め、早急に実施する意向だ。