欧州連合(EU)の欧州委員会のシムソン委員(エネルギー担当)は23日、冬を迎える前にEUが天然ガスの共同調達を開始する方針を明らかにした。ロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー価格が高騰するなか、共同調達で安定供給を図るとともに、交渉力を高めて価格上昇を抑制する狙い。加盟国は3月の首脳会議で天然ガスの共同調達に合意していたが、これまで開始時期など具体的な計画は不明だった。
シムソン氏はロイター通信とのインタビューで「世界的に天然ガスの調達が難しくなっており、年内に確保できるガスの量は限られている」と指摘。そのうえで、米国が年内に150億立方メートルの液化天然ガスを欧州向けに追加供給するという、EU・米間の3月の取り決めに触れ、「政治的な決断によって初めて調達が可能になるケースもある」と強調。EUが協調して行動することで、加盟国単独では得られない供給量を確保することができると述べた。
EUは毎年約1,550億立方メートルの天然ガスをロシアから輸入しており、ガス需要の約40%をロシアに依存している。ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に伴いエネルギー価格の高騰が深刻化するなか、EUはロシア依存からの脱却を図りながら、エネルギーの安定供給を確保するための施策を相次いで打ち出しており、欧州委はその一環として、希望する国を代表して供給側と交渉。ガスを共同調達する。