高級乗用車・バン大手の独メルセデスベンツは7日、従業員の再教育をこれまで以上に強化すると発表した。デジタル化の進展と車両の電動化を背景に業務で必要となる知識や技能が大きく変化していることを受けた措置。ザビーネ・コーライゼン取締役(人事担当)は、「(テクノロジーが大きく変化する)トランスフォーメーションでは生涯学習は流行語ではなく、成功の条件だ~企業にとっても個々の従業員にとっても」と意義を強調した。
2030年までにドイツ本国だけで13億ユーロ以上を投資する。eラーニングのプラットホーム「ターン2ラーン」を7-9月期中に立ち上げるほか、個々の従業員が自らに最も適したオーダーメードな教育を受けられるようにする。
ターン2ラーンではソフトウエア、データサイエンス、クラウドコンピューティング、一般的なビジネス上のノウハウ、プレゼンテーションなど幅広い分野のコースを合わせて数千種類、用意する。従業員は関心のあるコースを受講できる。受講の場所と時間には制約がない。
まずは管理部門と、製造部門の一部の従業員が利用できる。例えば生産現場の従業員はデータサイエンスを受講することで、生産設備が生む出すデータを分析して有効に活用できるようになる。電動車関連の生産現場で働き始める従業員であれば、高圧電力機器がある環境下で安全に働くための知識を習得することになる。
同社が昨年、ソフト、クラウド、IT分野で実施した研修には従業員が全世界で計7万5,000人参加した。研修の約80%はデジタルないしハイブリッド形式で行われた。