物流に黄信号、尿素水大手がガス高騰で生産停止

ドイツの物流が滞る懸念が出てきた。ディーゼル車の排ガス浄化に欠かせない尿素水(アドブルー)の生産を大手メーカーSKWシュティックシュトッフヴェルケ・ピーステリッツが、天然ガス価格の高騰を理由に停止したためだ。物流業界団体BGLのディルク・エンゲルハルト専務理事は日刊紙『ビルト』に、「アドブルーがないということはトラックを使えないということだ。これはつまり、ドイツ向けに(物資を)供給できないことを意味する」と危機感を表明した。

SKWはドイツ最大のアンモニア、尿素メーカー。ガス価格の高騰を受け、独東部のヴィッテンベルクにあるアンモニア工場の操業を2週間前に停止した。尿素はアンモニアを原料とすることから、これに伴いアドブルーの生産も止まった。広報担当者は、操業を1カ月行うと、1年間の利益に相当する額の損失が出ると事情を説明する。

エンゲルハルト氏はアドブルーが今後2週間で不足し始めると指摘。政府に対し物流を維持するための会合を開くよう強く促した。

ディーゼル車は法律上、アドブルーがないと走行できない。このため、事態が悪化すると物流だけでなく、バスの運行にも支障が出る恐れがある。

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