独化学工業会(VCI)は14日、同国化学・製薬業界の2022年の生産予測を従来の前年比1.5%減から5.5%減へと大幅に引き下げた。天然ガス、電力価格の高騰を受けて多くの企業が生産を抑制していることを受けたもので、化学業界に限ると8.5%減少するとしている(従来予測は4.0%減)。クリスティアン・クルマン会長(エボニック社長)は「減産は第一歩だ。特定の生産プロセスが全面停止を余儀なくされれば、二度と再稼働されないかもしれない」と危機感を表明した。
化学・製薬業界の第2四半期の生産高は前期比で6.4%減少した。工場稼働率は81.4%で、通常の水準(82~85%)を下回っている。エネルギー、原料価格が高騰したことから出荷価格は7.9%上昇したものの、コスト上昇分を転嫁し切れていない。売上高は3.4%増で、国内が4.7%増、国外が2.5%増だった。
先行き見通しは暗い。中国経済が失速しているうえ、米国の国内総生産(GDP)が2四半期連続でマイナス成長となったためだ。欧州も景気後退入りの可能性が高い。エネルギー市場が好転する兆しはなく、ドイツでは天然ガスの配給制が導入される恐れもある。
化学・製薬業界は天然ガスをエネルギー源のほか、原料としても使用している。ドイツのガス消費量に占める割合は15%に上る。