ガスを20%以上節約で報奨金、大口需要家への支援は拠点保持が条件

天然ガス危機対策を検討する政府の諮問委員会は10月31日、最終答申を提出した。10日の中間答申で打ち出した世帯・企業向けの支援策を具体化したもので、国内のガス消費量が膨らまないよう消費を節約した世帯に報奨金を支給することを提案している。

背景には、求職者給付金(いわゆる「ハルツ4」)を受給する低所得世帯は暖房費を国が負担している関係で、ガス消費抑制のインセンティブが働かないという事情がある。諮問委はこれを踏まえ、ガス消費量を20%以上、削減した世帯に報奨金を支給することを提案した。

同委はまた、国による今年12月のガス料金全額引き受けと、来年3月からの料金部分負担について、高所得層では国の支援額を課税所得に加算することも提案した。年収7万2,000ユーロ以上の世帯が該当する。これ以下の世帯では支援額が課税所得に加算されないことから。純支援額が目減りすることはない。

ガス消費量が年1.5メガワット時(MWh)を超える大口需要家向けの支援では、国の支援を受ける企業に国内拠点の維持を義務付けることを打ち出した。企業が国の支援を受けたにもかかわらず、エネルギーコストの低い国外に事業を移管することを防止する狙いがある。支援を申請する企業は国内拠点の保持を定めた労使協定ないし社内協定を提示しなければならない。そうした協定のない企業には、支援期間(2013年1月~24年4月末)の終了後1年間は雇用規模を10%超、削減することを禁じる。違反した場合は支援額を返済しなければならない。

政府は12月のガス料金負担の全額引き受けを定めた法案を2日の閣議で決定する予定。諮問委の最終答申を同法案に全面的に反映させることは時間の関係で難しいとみられる。経済省の広報担当者は『フランクフルター・アルゲマイネ』紙の問い合わせに、「緊急支援(12月のガス料金負担)はガス諮問委員会の提言に可能な限り沿ったものにする。その実施に向け実行可能性についての最終協議が行われている」と回答した。

上部へスクロール