ドイツ連邦参議院(上院)は10月28日、燃料排出取引法(BEHG)改正案を可決した。来年1月1日に予定する炭素税の引き上げを1年先送りし、エネルギー価格高騰の直撃を受ける一般世帯と企業の負担増加を回避することが法改正の狙い。同法はすでに連邦議会(下院)を通過しており、11月にも施行される見通しだ。
ドイツでは欧州連合(EU)排出量取引制度(ETS)の枠外にある交通、建造物、小規模製造業、農業、廃棄物分野(非ETS分野)の二酸化炭素(CO2)排出削減に向け、炭素税が2021年に導入された。課税対象となっているのは暖房油と天然ガス、ガソリン、ディーゼルの4種類。これら燃料の販売事業者は炭素税を支払わなければならない。同税は燃料価格に上乗せされることから、ドライバーや一般世帯が最終的に負担している。
炭素税は初年度の昨年が排出1トン当たり25ユーロで、今年は30ユーロとなっている。本来の計画では23年は35ユーロ、24年は45ユーロ、25年は55ユーロ、26年は55~65ユーロとなっていた。
今回の法改正により、23年の額は今年と同じ30ユーロに据え置かれる。これに伴い24年は45ユーロから35ユーロ、25年は55ユーロから45ユーロに低下する。26年は55~65ユーロで変更がない。