IT大手に通信コストの負担義務化へ、業界団体が「豪州モデル」導入要求

欧州の大手通信事業者が欧州連合(EU)に対し、米グーグルやメタ(旧フェイスブック)、ネットフリックスなどの巨大IT企業に通信インフラのコスト負担を義務づける新ルールの導入を求めているもようだ。ロイター通信が4日、事情に詳しい情報筋の話として報じた。

欧州の通信事業者は以前から、「GAFA」などのIT大手が通信インフラに「ただ乗り」してインターネットトラフィックの大部分を利用しているとして、通信網の運営コストを一部負担するよう求めてきた。ロイターによると、法制化を求める今回の動きは、移動体通信事業者と関連産業の企業750社以上が加盟する業界団体GSMアソシエーション(GSMA)で検討されており、「今後5~6週間のうちに、欧州委員会のブルトン委員(域内市場担当)に書簡が届けられる予定」(GSMAのジョン・ジュスティ規制担当最高責任者)という。

GSMAの提案は、ネット上でニュースを表示する際、報道機関への対価の支払いを義務づけるオーストラリアの法律をモデルにしている。これは検索サイトやSNSがニュースを表示して多額の広告料収入を得ているにもかかわらず、対価を支払っていない点を問題視し、巨大IT企業に報道機関への支払いを義務付けて、具体的な手続きや罰則を定めたもの。IT企業はニュースを発信した報道機関から支払いを求められた場合、交渉に応じなければならず、交渉がまとまらない場合は仲裁機関が支払い条件を決定する。決定に従わなければ罰金が科される。

情報筋によると、GSMAに加盟しているドイツテレコムや仏オレンジ、スペインのテレフォニカなどはオーストラリアの仲裁方式が最良との意見で一致している。関係者は現在、最終的にGSMAとして新法の導入を欧州委に求めるか、あるいはGSMA加盟企業のトップが連名で働きかけを行うかについて協議しているという。

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