グリーン水素国際市場の成長を加速、独が基金設立へ

ドイツのスヴェーニャ・シュルツェ経済協力開発相とシュテファン・ヴェンツェル経済政務次官は15日、エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催中の国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)で、新たな水素基金2本を立ち上げると発表した。再生可能エネルギー電力で水を分解して製造するグリーン水素の国際市場が速やかに成長するようにする狙い。先進国だけでなく途上国も水素経済のメリットを享受できるようにする考えだ。

政策金融機関のドイツ復興金融公庫(KfW)に「ptx開発基金」と「ptx成長基金」を設置し、水素プロジェクトに補助金を交付する。グリーン水素の生産から加工、貯蔵、輸送、インフラ、川下製品(肥料やeケロシン)の生産までと全バリューチェーンのプロジェクトを支援していく。両基金の規模は計5億5,000万ユーロ。補助金の効果で民間投資を少なくとも25億ユーロ喚起する考えだ。

ptx開発基金は途上国を支援対象とするもので、規模は2億5,000万ユーロ。多くの途上国はグリーン水素の生産に適した条件を持っているにもかかわらず、資金や技術がないため同バリューチェーンから取り残される恐れがあることから、支援を通して水素を生産・利用できるようにする。

ptx成長基金はドイツに拠点を置く独・欧州企業を対象としたもので、規模は3億ユーロに上る。

ドイツ政府は2020年、グリーン水素経済の実現に向け総額90億ユーロの「国家水素戦略」を打ち出した。同戦略に基づいて両基金を年内に設立する。

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