ドイツ政府は13日、長距離公共交通機関でのマスク着用義務を2月2日付で廃止すると発表した。新型コロナウイルスの感染状況が安定し、医療ひっ迫のリスクが低いことを受けた措置。近距離公共交通機関でのマスク着用を廃止する州が増えたことから、長距離鉄道などでも廃止するよう求める声が強まっていた。
同国内の6州は10日、近距離公共交通機関でのマスク着用義務を廃止するとそれぞれ発表した。新規感染者数と入院患者数がともに低水準で安定していることを受けた措置。バイエルン、ザクセン・アンハルト、シュレスヴィヒ・ホルシュタインの3州は同義務をすでに廃止していた。
新たに廃止方針を打ち出した6州のうちザクセン州は16日付で廃止した。バーデン・ヴュルツブルクは31日付、ベルリン、ブランデンブルク、メクレンブルク・フォーポマーン州は2月2日付、テューリンゲン州が2月3日付は続く。テューリンゲンでは感染者の隔離義務もなくなる。
国のラウターバッハ保健相はこれまでマスク着用義務の廃止に消極的な姿勢を示してきたが、専門家や与党内でも廃止論が強まってきたことから容認を余儀なくされた格好だ。同氏は声明で、パンデミックは終わっていないとして、車内と屋内では任意でマスクを着用するよう呼びかけた。
現行法では長距離公共交通機関での感染防止策を国、近距離公共交通機関での感染防止策を州がそれぞれ担当している。期限は4月7日まで。
ドイツでは有力なウイルス学者であるクリスティアン・ドロステン氏がパンデミックは収束したとの見解を表明した昨年末以降、コロナ規制の廃止要求が強まった。与党内ではリベラル派の自由民主党(FDP)がマスク着用義務は人権の不当な制限に当たるとして撤廃を強く求めてきた。