ドイツ―グリーンと従来型事業をともに強化―

独エンジン大手ドイツ(Deutz)は19日、新事業戦略「デュアル+」を発表した。炭素中立へと向かう市場動向を踏まえゼロエミッションのグリーンな技術の開発を加速するとともに、化石燃料を用いる従来型のエンジン事業も当面、強化する。また、収益力の高いサービス事業を拡充し、独立系エンジンメーカーで世界3位以内の地位を持続的に確保できるようにする。売上高営業利益率を2030年までに現在の約6%から8%超へと引き上げる目標だ。炭素中立は50年までに実現する。

ディーゼルエンジンは現在、同社の売り上げの97%を占めている。化石燃料は今後、電力や水素など炭素中立のエネルギー源に置き替えられていくことから、ディーゼルエンジンの需要は長期的に縮小していく見通しだ。

だが、農機や建機、大型トラックなどの分野では当面、需要が見込まれることから、同社は「クラッシック」と位置づけるディーゼルエンジン事業を当面、強化していく。競合企業が同エンジン市場から撤退することを追い風として利用する考えだ。モーター生産台数を現在の年18万基から20万基以上へと引き上げていく。

将来の主力となる「グリーン」事業分野では水素や合成燃料を用いるゼロエミッションエンジンやモーターの開発に注力。電動建機用の充電設備など周辺製品も拡充していく。グリーン事業には今後3年で1億ユーロ以上を投資する計画だ。

同社製エンジンは平均10年使用され、サービスとアフターセールスのポテンシャルが大きいことから、これらの事業を強化するため拠点網の拡充や買収、戦略協業を進める。他社製品のメンテナンスを行うことも考えている。サービス事業の売上高を今後数年で5億ユーロ以上に引き上げる。

上部へスクロール