ドイツ最大の労働組合であるIGメタルは23日、米自動車大手のフォード・モーターが欧州で最大3,200人の人員削減を計画していることを明らかにした。電気自動車(BEV)へのシフトを進めるなか、ドイツを中心に余剰人員を減らす。
削減計画は同日、独ケルン工場で開かれた労使協議会で通知された。製品開発部門で最大2,500人、管理部門で同700人を減らす。削減はドイツが中心となるが、ベルギー、英国などの従業員も対象となる。
フォードのファーリー最高経営責任者(CEO)は昨年11月、BEVはエンジン車と比べて40%少ない人員で生産できるとして、合理化を示唆していた。IGメタルによると、経営側はサプライチェーンの混乱による欧州での生産減少、BEVでライバルとなっている米テスラとの価格競争も人員整理の要因と説明したという。
一方、西南ドイツのザールルイ工場をめぐっては中国のBEVメーカー比亜迪汽車(BYD)に売却する方向で交渉しているとの観測が浮上している。米『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙が消息筋の情報として24日に報じた。交渉は初期段階にあり、破断する可能性もあるという。
ザールルイ工場では現在、内燃機関車のコンパクトカー「フォーカス」を生産している。同モデルの生産は2025年で終了。終了後に同工場で生産するモデルは決まっておらず、現状では閉鎖が避けられないと目されている。従業員代表の事業所委員会によると、ザールルイ工場の従業員4,500人のうち同年以降も雇用されるのは500~700人にとどまるという。