富士通―独レーストラックのデジタル化支援、AIで安全性強化へ―

富士通は23日、独サーキット運営会社ニュルブルクリンクのレース安全対策向けに行っている包括的な支援に絡み、人工知能(AI)を活用したシステムの本導入を今月から開始すると発表した。ニュルブルクリンクの常設レーストラック「ノルドシュライフェ」で昨年実施した実証実験が終了したことから、新たな段階へと進む。今後2年で同トラック全域にシステムを拡大していく。

ノルドシュライフェは自動車レース場ニュルブルクリンクにあるサーキットの1つ。全長は約21キロに上り、世界で最も長い。カーブが多いうえ、にわか雨や濃霧など気象条件も複雑なことから、「世界有数の難関コース」と言われる。

昨年の実証実験ではトラック内の2.8キロメートルの区間に、8台のハイビジョン(HD)カメラを光ファイバーケーブルで接続するとともに、AI機能を搭載したシームレスなシステムを構築した。これにより、HDカメラからの映像をAIがリアルタイムで監視・判断し、レーストラック上のLEDディスプレーを通して即座に危険をドライバーに警告できるようになったことから、他の車両や人との接触事故を未然に防止することが可能になる。

ニュルブルクリンク社は2025年のグランプリレースシーズンまでに同システムの実運用を開始することを目指している。富士通は実証実験による有効性検証を踏まえて、今後2年でノルドシュライフェのトラック全域にHDカメラ100台を追加設置し同サーキット全域の監視体制を実現。AI機能も強化して安全対策を支援していく。

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