商標権訴訟でアウディが中国BEV企業に勝訴

中国の電気自動車(BEV)メーカー、上海蔚来汽車(NIO)のSUV「ES6」と「ES8」は独アウディのセダン「S6」「S8」の商標権を侵害しているとしてアウディが宣伝の差し止めなどを求めて提訴した係争で、1審のミュンヘン地方裁判所は19日、アウディの訴えを認める判決を下した。判決理由で裁判官は、NIOのモデルの頭文字に用いられているアルファベットの「E」は通常、電気を意味する「エレクトロ(Elektro)」の略字と理解されると指摘。多くの潜在的な自動車購入者はNIOのES6とES8をアウディ車S6、S8の電動車バージョンと勘違いするとの判断を示した。NIOは敗訴した場合は控訴する意向を1審判決前に表明していることから、裁判は上級審に持ち込まれる見通しだ。

NIOは2021年秋、ES8の販売をノルウェーで開始し、欧州市場に参入した。ES6とES8は現在、同国と中国で販売している。ドイツ市場にも投入する意向だが、同市場では差し当たり、セダン「ET7」を販売するにとどめている。

中国の自動車メーカーはこれまで欧州市場で存在感がまったくなかった。だが、BEVでは高い技術を持っており、ドイツ市場にも中国ブランドが進出。昨年10月に同市場参入を果たしたNIOは12月末までに498台を販売した。コンサルティング会社ベリルスがアウディ、BMW、メルセデス車のオーナーを対象に実施したアンケート調査では、20%が「中国ブランド車への乗り換えは考えられる」と回答しており、独高級車メーカーの顧客基盤は安泰とは言えない状況だ。

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