ドイツ銀行は2日、主に発電に用いる一般炭を採掘ないし使用する企業への融資ガイドラインを改めると発表した。融資のハードルを高め、石炭事業の縮小・廃止へと誘導する狙いだ。5月から新ガイドラインを適用する。
2016年に導入した現ガイドラインでは一般炭の採掘ないし使用で売り上げの50%以上を獲得している企業を融資対象から除外した。新ガイドラインでは同比率を30%以上へと引き下げる。これを上回る新規顧客は融資を受けられない。既存顧客も25年末までに一般炭事業の縮小に向けた計画の提示が義務付けられる。採掘量が年10メガトン以上の企業と、石炭発電能力が10ギガワット以上の企業は同比率が30%未満でも融資を受けることができない。
同行は経済協力開発機構(OECD)加盟国の顧客に対し一般炭事業から30年までに完全撤退することを要求。OECD非加盟国の顧客に対しては40年までの撤退を義務付ける。
現行ガイドラインでは、一般炭鉱の新規開発と拡張、石炭発電所の新設と拡張をプロジェクト融資の対象から除外した。
ドイツ銀行の炭鉱向け融資残高は22年末時点で2億3,100万ユーロとなり、前年同日から約18%減少した。同行の融資残高全体に占める割合は0.04%にとどまる。
今後は石油、天然ガス分野でも融資ガイドラインを改定する意向だ。両分野の22年末時点の融資残高は前年同日比20%強減の65億ユーロで、全体の1.3%を占めた。