ドイツ連邦陸運局(KBA)が3日発表した2月の乗用車新車登録台数は20万6,210台となり、前年同月を2.8%上回った。増加は2カ月ぶり。昨年末で購入補助金が打ち切られたプラグインハイブリッド車(PHV)は激減したものの、電気自動車(BEV)とガソリン車が増え、全体が押し上げられた。コロナ禍前の19年同月に比べると新車登録数は23%少ない。1~2月の累計は前年同期比0.2%増の38万5,475台とわずかに拡大した。
2月の新車登録を動力源別でみると、電気自動車(BEV)は14.7%増3万2,475台へと拡大した。PHVは44.8%減の1万1,916台へと後退。PHVを含むハイブリッド車も0.8%減の5万8,980台となった。ガソリン車は8.9%増、ディーゼル車は7.3%減だった。
シェアをみると、BEVは前年同月の14.1%から15.7%へと伸びた。PHVは10.8%から5.8%に後退。HVも29.7%から28.6%に落ち込んだ。ガソリン車は2.0ポイント増の36.5%、ディーゼル車は2.1ポイント減の18.6%だった。
乗用車新車登録に占めるBEVとPHVの合計のシェアは24.9%から21.5%に縮小した。BEVとHVは同43.8%から44.3%に拡大している。
走行1キロメートル当たりの新車の二酸化炭素(CO2)排出量は119.8グラムで、前年同月から1.6%増加した。PHVの大幅減が響いたとみられる。
新車登録の伸び率が最も大きかった部門は大型バンで25.1%に達した。これにオフロード車が17.3%、スポーツ車が14.5%で続いた。ミニバンは減少幅が最も大きく前年同月を37.8%下回った。
シェアはSUVが29.3%(前年同月27.3%)で断トツの1位。2位のコンパクトカーは前年同月の17.1%から17.0%、3位の小型車は13.3%から11.8%へとともに落ち込んだ。
伸び率が最も大きかったブランドはMANで、前年同月比234.0%増の167台を記録。スズキ(180.6%増の2,121台)、マセラッティ(128.6%増の144台)、MGロエベ(104.6%増の1,330台)、アルファロメオ(100.5%増の373台)も3ケタ台に達した。
MAN以外のドイツ車では、ポルシェ(36.9%増の2,580台)、メルセデス(17.1%増の2万1,682台)、アウディ(11.6%増の1万8,277台)、VW(7.1%増の3万9,519台)が増加。フォード(2.6%減の8,933台)、BMW(4.7%減の1万4,885台)、オペル(17.6%減の9,637台)、ミニ(20.3%減の2,976台)、スマート(35.6%減の846台)は減少した。
スズキ以外の日本車ではマツダが57.5%増の3,032台、日産が29.7%増の2,460台と好調だった。そのほかのブランドはトヨタが1.2%減の5,803台、ホンダが16.1%減の509台、スバルが26.8%減の282台、レクサスが30.1%減の144台、三菱が75.9%減の703台となっている。
日本車以外の主な輸入ブランド(シェア1%以上)をみると、シトロエン(33.6%増の3,262台)、テスラ(29.7%増の7,711台)、プジョー(19.1%増の4,167台)、ダチア(18.6%増の4,792台)、シュコダ(7.9%増の1万3,745台)は増加。フィアット(1.7%減の5,706台)、現代(5.5%減の6,970台)、ボルボ(6.4%減の2,980台)、セアト(10.5%減の8,111台)、起亜(12.8%減の4,550台)、ルノー(40.6%減の3,608台)は落ち込んだ。
中国メーカーは昨年秋から冬にかけて独市場に相次いで参入した。各ブランドの実績はNIO(蔚来汽車)が13台、GWM(長城汽車)が10台、BYD(比亜迪汽車)が7台にとどまっており、これまでのところ存在感がない。
各ブランドのシェアをみると、ドイツ車はこれまで同様、VW(19.2%)を筆頭に上位を独占している。そうしたなか、テスラは3.7%を獲得。輸入車ではVWグループのシュコダ(6.7%)、セアト(3.9%)に次ぐ3位に付けた。現代(3.4%)やトヨタ(2.8%)を上回っている。
一方、独自動車工業会(VDA)が同日発表した2月の国内乗用車生産台数は38万2,600台となり、前年同月を24%上回った。輸出台数も24%増えて27万8,000台となった。1~2月の累計は生産台数が前年同期比26%増の70万8,300台、輸出台数が24%増の50万2,000台だった。