Ifo経済研究所が24日発表した4月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)は93.6となり、前月を0.4ポイント上回った。同指数の改善は6カ月連続。今後6カ月の見通しを示す期待指数がこれまでに引き続き全体を押し上げた。現状判断を示す指数はやや悪化しており、クレメンス・フュスト所長は「ドイツ企業の懸念は弱まっているが、景気に勢いはない」と述べた。
期待指数は1.2ポイント増の92.2へと上昇した。天然ガスの供給不足懸念が最も深刻化していた昨年10月の76.6を直近の底に改善が続いている。
現状判断指数は0.4ポイント低下し95.0となった。同指数は改善と悪化を繰り返している。
景況感を部門別でみると、製造業はやや改善した。期待指数が大きく伸びたためで、現状判断は大幅に落ち込んだ。工場稼働率は0.2ポイント増の84.5%となり、長年の平均(83.6%)を0.9ポイント上回った。今後の生産拡大を見込む企業が多い。
サービス業の景況感は6カ月ぶりに悪化した。現状判断と期待指数がともに落ち込んでいる。
流通業でも現状判断と期待指数が低下した。小売業では販売低迷を受けて発注を控える企業が多い。
建設業の景況感は4カ月連続で改善した。水準自体は極めて低い。期待指数が上昇したのに対し、現状判断は15年12月以来の低水準へと落ち込んだ。
Ifoの調査担当者は米国の銀行不安とクレディスイスをめぐる混乱に言及。「銀行の地震は(ドイツ)企業の景況感に影響をもたらしていない」として、ドイツには波及していないとの認識を示した。
一方、Ifoが25日に発表した4月の独製造業輸出期待指数(DI)は前月を2.8ポイント上回る6.9ポイントへと上昇し、2022年2月以来の高い水準となった。同指数の上昇は2カ月連続。巨大市場の米国と中国で景気が改善していることが大きい。調査担当者は「輸出は第2四半期に再び拡大するかもしれない」と述べた。
Ifoは月例の企業景況感調査の一環としてメーカーおよそ2,300社に今後3カ月の輸出見通しを質問している。メーカーは「増える」「横ばい」「減る」のどれかを選んで回答。「増える」の回答比率から「減る」の回答比率を引いた数に季節調整を加味したものが輸出期待指数となる。同指数がプラスの領域にあることは、輸出増回答が輸出減回答を上回っていることを意味する。
4月の状況を部門別でみると、自動車は輸出期待指数が大幅に伸びた。化学は2021年9月以来の高い水準まで回復。電気装置、ゴム・樹脂製品、ガラス・セラミックでは輸出増と輸出減回答が拮抗している。金属はやや改善したものの、依然として輸出減回答の方が多い。製紙も振るわない。