ドイツ連邦統計局が20日発表した3月の生産者物価指数(2015年=100)は前月比2.6%減の151.8(暫定値)となり、6カ月連続で低下した。過去最高となった昨年9月(172.5)に比べると12.0%低い水準。物価を強く押し上げてきたエネルギー価格が低下していることが大きい。
今回の統計には、政府支援を通して天然ガス、電力料金に上限を設定するルールが反映されていない。3月1日付で施行された同ルールは1月1日にさかのぼって適用されるものの、現時点でこれらの料金がどの程度になったかが統計データ化されていないため、統計局は同ルールを除いたベースで天然ガスと電力の価格を算出した。同ルールを加味したデータが事後的に発表されると、1月以降の生産者物価は下方修正される見通しだ。
3月のエネルギー価格は前月を7.6%下回り、これまでに引き続き低下した。エネルギーを除いたベースでは生産者物価が0.2%上昇した。
エネルギー以外の財では中間財が0.1%低下した。そのほかはすべて上昇。上げ幅は投資財で0.2%、耐久消費財で0.3%、非耐久消費財で0.7%に上った。
生産者物価は前年同月比では7.5%上昇したものの、上げ幅は前月の15.8%から大幅に縮小した。統計開始後の最高となった昨年8月と9月(ともに45.8%)に比べると約6分の1にとどまる。
エネルギーは6.8%の上昇だった。比較対象の22年3月はロシアのウクライナ進攻開始(2月24日)直後でエネ価格が高騰しており、今年3月はそのベース効果でこれまでに比べ上げ幅が小さくなった。
エネルギーを製品別でみると、天然ガスは19.1%上がり、全体を押し上げた。電力は変動がなく、石油製品は18.4%低下した。エネルギーを除いた生産者物価の上昇率は7.9%で、エネルギーを加味した数値(7.5%)を0.4ポイント上回っている。
中間財は4.7%上昇した。上げ幅はピーク時の昨年4月(26.0%)を大きく下回っている。中間財全体を最も強く押し上げたのは前月同様ガラス・ガラス製品・セラミック・加工石材で、前年同月を24.1%上回った。このほかセメント(52.3%)、紙製の家庭・衛生・トイレ用品(27.8%)などで上昇率が大きかった。金属は3.6%低下し、銑鉄・鉄鋼・鉄合金では下げ幅が9.3%に上った。
投資財の上昇率は7.5%だった。全体を最も強く押し上げたのはこれまで同様、機械で9.4%を記録。押し上げ効果が2番目に大きかった自動車・自動車部品は5.9%に上った。
耐久消費財は10.0%だった。
非耐久消費財は15.4%で、食料品は19.2%に上った。砂糖は89.2%、加工済みジャガイモは46.6%、豚肉は33.4%、マーガリン・食用脂は29.3%だった。バターは11.6%、非加工の植物油は31.0%の幅で下落した。