独エネルギー大手ユニパーやベルギーのガス輸送大手ガスニーなど7社は4月25日、ドイツ北西部で各社が計画する水素プロジェクトを連携させることで基本合意したと発表した。水素の輸入から生産、輸送、消費に至る全バリューチェーンをカバーする協業を通して同地で水素経済圏を立ち上げる意向だ。投資を実際に行うかどうかの最終決定は規制枠組みの確定と補助金審査の結果を踏まえて行う。
今回の基本合意を締結したのは英bp、ガスニー、独ノヴェガ、NWO、ザルツギター、ティッセンガス、ユニパーの7社。ヴィルヘルムスハーフェン港とライン・ルール地区を結ぶパイプライン「南北回廊」と、同港とザルツギター市を結ぶパイプライン「東西回廊」を通して輸入・生産地であるヴィルヘルムスハーフェンと消費地を結びつける。2028年までに稼働させたい考えだ。
bpとユニパーはヴィルヘルムスハーフェン港にそれぞれアンモニア輸入ターミナル1カ所を設置。アンモニアを分解して水素を取り出す。ユニパーは大型電解槽を設置し、洋上風力発電の電力を用いてグリーン水素を生産することも計画している。
これらの水素はパイプライン運営会社のガスニー、ノヴェガ、NWO、ティッセンガスが南北回廊と東西回廊を通して消費地に輸送する。両回廊は既存パイプラインの転用と新設を通して完成させる。
輸送された水素はbpがエムスラントとルール地方の製油所、ザルツギターが製鉄で使用する考え。両回廊周辺のエネルギー集約型企業や貯蔵施設に供給することも想定している。
ティッセンガスとガスニーは2月、ヴィルヘルムスハーフェン港とケルン近郊のヴェッセリングを結ぶ全長およそ400キロの水素輸送パイプラインを設置する計画を発表した。この計画は今回の連携計画に統合されることになる。