欧州最大の3Dプリント建造物、ハイデルベルクで建築中

建材大手の独ハイデルベルク・マテリアルズは4月26日、同社の特殊コンクリートを用いた3Dプリント建造物の建築作業が地元ハイデルベルク市で行われていると発表した。3Dプリント建築では材料使用量を大幅に削減できる。投入する特殊コンクリートはカーボンフットプリントが少ないこともあり、二酸化炭素(CO2)排出削減のポテンシャルは大きいと期待している。

不動産会社クラウスグルッペが旧米軍宿舎跡地に3Dプリント建造物を設置する。3辺の長さは縦54メートル、横11メートル、高さ9メートルで、欧州最大の3Dプリント建造物となる。3月末に着工した。7月末に完成する見通しだ。データセンターが入居することになっている。建築作業は3Dプリント建築ソリューション事業者のPERI 3Dコンストラクションが担当する。

ハイデルベルク・マテリアルズは同建造物に、3Dプリント建築用に独自開発した建材「i.tech 3D」およそ450トンを供給する。同建材に使用されている結合剤のカーボンフットプリントは一般的なセメントであるポルトランドセメントに比べ55%少ない。100%リサイクルできる強みもある。

i.tech 3Dは2020年にドイツで建てられた住宅に初めて使用された。同社はその後、改良を進め、カーボンフットプリントを引き下げてきた。ニコラ・キム最高サステナビリティ責任者(CSO)は、「i.tech 3Dのように画期的で持続可能な製品と、デジタル事業モデルの開発はわが社のサステナビリティ戦略の本質的な要素だ」と強調した。ハイデルベルク・マテリアルズはコンクリート製品の50%を30年までにリサイクル可能なものにする計画だ。

3Dプリント建築で使用される建材の量は従来型の建築に比べ最大70%少ない。このため広く普及すれば建設業界のCO2排出削減につながる。

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