独複合企業ティッセンクルップは22日、電解プラント・エンジニアリング子会社ティッセンクルップ・ヌセラがスウェーデンの鉄鋼スタートアップ企業H2グリーン・スチール(H2GS)から電解槽を受注したと発表した。欧州初の本格的な水素製鉄プラントに投入される。受注額は明らかにしていない。
H2GSは従来品に比べ二酸化炭素(CO2)排出量が95%少ない鉄鋼を同国北部のボーデン市で生産する計画。同地は風力が強く水力発電にも適していることから、同社はこれら再生可能エネルギーベースの電力でグリーン水素を作り、鉄鋼を生産する。コークスを還元剤とする従来型の製鉄では鉄鉱石中の酸素がコークスの炭素と結合してCO2が発生するのに対し、水素を還元剤とすると酸素が水素と結合することから水ができる。
ヌセラはグリーン水素製造用の電解槽「スカルム(scalum)」を供給する。スカルムは出力が20メガワット(MW)。モジュール型であるため、顧客ニーズに応じてスケール化できる。H2GS向けには700MW強を供給する。
H2GSの水素鉄鋼プラントは25年末に操業を開始し、26年から本稼働する予定。年産量は当初250万トンで、30年までに約500万トンに引き上げられる。鉄鋼製造用の設備は独SMSグループなどが昨年10月に受注した。
水素鉄鋼は自社製品のカーボンフットプリント削減に取り組む自動車メーカーを中心に高い需要が見込まれている。H2Gはすでにメルセデス、BMWなどから受注を獲得済みだ。