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2023/5/31

総合 - ドイツ経済ニュース

景気後退入り、1-3月期GDP-0.3%に下方修正

この記事の要約

ドイツ連邦統計局は25日、1-3月期の国内総生産(GDP)が物価調整後の実質に季節・営業日数を加味したベースで前期を0.3%下回ったことを明らかにした。4月下旬に発表した速報値では前期比横ばいとなっていたいが、下方修正さ […]

ドイツ連邦統計局は25日、1-3月期の国内総生産(GDP)が物価調整後の実質に季節・営業日数を加味したベースで前期を0.3%下回ったことを明らかにした。4月下旬に発表した速報値では前期比横ばいとなっていたいが、下方修正された。マイナス成長は2四半期連続で、ドイツは経済学の一般的な定義上、景気後退局面に入ったことになる。

GDPを最も強く押し下げたのは個人消費(民間最終消費支出)で、1.2%減少した。高インフレを受けて消費者が支出を抑制していることが反映されている。電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の購入補助金が昨年末で縮小・廃止されたことも響いた。政府最終消費支出は4.9%減と大幅に縮小した。

投資は拡大した。暖冬が追い風となり建設投資は3.9%増加。4四半期ぶりに好転した。設備投資も3.2%増え、2四半期ぶりに改善している。

輸出は0.4%増えた。化石燃料と化学製品の輸入が減ったことから輸入は0.9%減少。GDP成長率に対する外需(輸出-輸入)の寄与度は0.7ポイントに上った。内需が1.0%減少したことから、GDPはマイナス成長となった。

粗付加価値は0.9%増となり、2四半期ぶりに拡大した。建設が6.1%増えて全体をけん引。製造も2.0%増加した。流通は0.1%増え、2.8%減となった前期からやや回復した。金融・保険サービスは1.7%減少し、2四半期連続で後退。企業向けサービスも0.4%落ち込んだ。

製造が増加したのは1月と2月の鉱工業生産が好調だったため。3月は前月比3.4%減と大きく落ち込んだ。同月は製造業新規受注も10.7%減と大幅に縮小しており、製造業の景気は先行きが不透明だ。

ドイツ経済が近い将来に本格回復する可能性は低い。GDPの構成比重が大きい個人消費で今後も低迷が予想されるためだ。インフレ率の高止まりに加え、来年以降に設置する暖房を温室効果ガスの排出削減に寄与するものに制限する法案が閣議決定されたことが、世帯支出の強いブレーキとなる恐れがある。ヒートポンプなど環境に優しい暖房は化石燃料を用いる従来型の暖房に比べ製品価格が高く、今後の暖房交換費用に対する警戒感が持ち家世帯を中心に広がっている。同費用は賃貸住宅でも家賃に転嫁されることから、影響は長引く可能性がある。

投資にも逆風が吹いている。金利の急速な上昇は建設業界の新規受注を激減させた。回復の見通しは立っていない。世界的な資金調達コストの上昇で企業は新規投資に慎重になっており、国内の設備投資と輸出にも影響が出そうだ。

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