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2023/6/14

総合 - ドイツ経済ニュース

ゼロコロナ解除後も独社の中国事業不振

この記事の要約

ゼロコロナ規制が解除されたにもかかわらず、ドイツ企業の中国事業見通しは改善していないことが、在中国ドイツ商工会議所(AHK中国)が会員企業を対象に実施したアンケート調査で分かった。イェンス・ヒルデブラント理事は、「市場の […]

ゼロコロナ規制が解除されたにもかかわらず、ドイツ企業の中国事業見通しは改善していないことが、在中国ドイツ商工会議所(AHK中国)が会員企業を対象に実施したアンケート調査で分かった。イェンス・ヒルデブラント理事は、「市場の低迷と地政学的な緊迫の持続は事業環境が速やかに改善するとした期待を相対化した」との見方を示した。

アンケートは5月中旬に実施され、288社から回答があった。業種別の内訳は機械・設備が30%、自動車が23%、サービスが8%、電機が6%、その他が33%となっている。

「今年は御社が属する業界の状況が昨年と比べてどうなると思いますか」との質問では「改善する」が前回調査(ゼロコロナ政策実施中の22年8~9月)を5ポイント上回る45%に増えたものの、「悪化する」も6ポイント増の35%に拡大した。今年の売上見通しについては「増える」が9ポイント減の41%、「減る」が9ポイント増の26%と悪化。利益の見通しも「減る」が10ポイント増の32%に拡大した。

今後2年間の対中投資額に関しては「増やす」が4.2ポイント増の54.9%と最も多かった。ただ、20年と21年はともに70%を超えており、かつてに比べ慎重な企業が増えている。また、「減らす」は2.7ポイント減の17.7%に減少したものの、「投資を行わない」は3.2ポイント増の20.5%へと拡大した。

投資を「減らす」ないし「行わない」と回答した企業に理由を尋ねたところ(最大3項目まで回答可)、最も回答が多かったのは「市場拡大の見通しが低い」で57.8%に上った。これに「地政学的な緊迫」が42.2%、「『メイド・イン・チャイナ2025』や『バイ・チャイナ』など中国の経済政策は自国の自立を目指しているため」が28.4%で続いた。市場低迷のほか、習近平国家主席の政策が投資の足かせになっていることがうかがわれる。

投資を「増やす」理由では「中国での競争力を維持するため」が62.4%で最も多く、2位は「市場拡大の見通しが高い」(47.8%)、3位は「中国の顧客・パートナー企業が現地化の拡大を要求しているため」(44.0%)だった。

地政学リスク対策では、現地化の強化と投資などの分散を併用する企業が多い。「研究開発などのビジネス機能の現地化を加速する」は27.4%、「中国から離れる形でサプライチェーンを多様化する」は20.5%、「中国で計画していた事業・投資を棚上げにしている」は18.8%に上った。「中国撤退を含む最悪のシナリオを作成した」も16.3%あった。

「御社の業績を今年、拡大するために中国政府がなすべきことは何ですか」との質問では、「消費者マインドの回復」が圧倒的に多く、63.2%に達した。2位は「公共入札への外資の平等な参加」で29.2%、3位は「政策の分かりやすい説明」で21.5%だった。