コベストロ―アブダビ国営石油が買収打診か―

アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油会社(ADNOC)が独化学大手コベストロに買収を打診したとの観測が浮上している。ブルームバーグ通信が20日、消息筋の情報として報じた。ADNOCが買収に踏み切るかどうかは現時点で定かでないとしている。コベストロはADNOCとの協議を拒否しているという。両社は報道内容へのコメントを控えている。

コベストロはADNOCのスルターン・アル・ジャーベル最高経営責任者(CEO)宛の書簡で、さらなる協議を行うには自社の評価額が低すぎると指摘。また、ADNOCがコベストロにとって最良の所有者になるかどうかに疑問を呈したという。買収提示額は1株当たり55ユーロのもよう。コベストロを約110億ユーロと評価したことになる。

コベストロはポリカーボネート、および前駆物質であるTDIとMDIの世界的な有力メーカー。近年は脱炭素化に向けて積極的に取り組んでいる。ADNOCは石油事業への依存を引き下げ、脱炭素関連の事業を強化する方針を打ち出しており、コベストロの買収は経営戦略に合致している。

今回の報道を受け、コベストロの株価は急上昇し、時価総額は75億ユーロから90億ユーロ超に膨らんでいる。独ユニオン・インベストメントのファンドマネージャーは『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に、コベストロは浮動株比率が高いため、株式の買い取り価格が適正であれば買収は成立すると指摘。110億ユーロ強~120億ユーロが妥当な評価額だとの見方を示した。

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