欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2015/4/29

経理の新情報

請求書を全て損失した際のVATの還付

この記事の要約

VAT還付の大前提となるのが、還付手続きを行うときに売上法に適った請求書が手元にあることです。しかし売上税法上、請求書を還付申請後必ずしも保持し続けていかなければいけないとは規定されていません。例えば請求書を火災などで全 […]

VAT還付の大前提となるのが、還付手続きを行うときに売上法に適った請求書が手元にあることです。しかし売上税法上、請求書を還付申請後必ずしも保持し続けていかなければいけないとは規定されていません。例えば請求書を火災などで全て損失した場合、企業はオリジナルの請求書があったことを証明しなければなりません。

連邦財務裁判所は、請求書のコピーがあった場合はそのコピー、コピーも存在しない場合は、それを証明するなんらかの証拠(証人証言も可能)があれば問題ないとしています。しかしながら、裁判所は、オリジナル請求書が存在したことを証明するのみではなく、実際請求書の具体的なサービス内容も証明しなければならないとしています。オリジナル請求書の存在が証明されただけでは、VAT還付条件は満たされていないとみなされます。損失した請求書が復元できない場合は、還付額を評価することができます。                

すべての経理書類及び経理デ一タが盗まれたという特殊なケースの判例では、還付申請した額の60%が認められました。過去の税務調査でも申告した還付額のうち還付不可能な額が含まれていたという背景もあり、このような評価となりました。