独ガス会社に欧州委が立ち入り調査、露ガスプロム子会社などが対象か

欧州連合(EU)の欧州委員会は31日、ドイツの複数の天然ガス企業を対象に立ち入り調査を実施したと発表した。EU法で禁じられている市場支配的な地位を乱用した疑いが持たれている。欧州委は容疑の具体的な内容も調査対象の企業名も明らかにしていないが、ロイター通信など複数のメディアは消息筋の情報として、露天然ガス大手ガスプロムの独子会社に調査が入ったと報じている。欧州で昨年秋以降、天然ガスが不足し価格が高騰しているにもかかわらずガスプロムがスポット市場を通した追加供給を見合わせていることが問題視されているもようだ。

欧州委は29日に立ち入り調査を実施した。独連邦カルテル庁の職員が立ち会っている。

ガスプロムはドイツにガス取引・貯蔵のガスプロム・ゲルマニア、ガス供給のウインガスなどの子会社を持つ。

欧州委は天然ガス価格の高騰を受け、数カ月前から市場操作・投機の疑いで調査を行っている。ウルズラ・フォンデアライエン委員長は欧州市場にガスを追加供給すれば巨額の利益が得られるにもかかわらずガスプロムがそれを行わないのはまったく奇妙だと指摘。欧州委は8日の声明で、「いくつかの市場参加者、特にガスプロムは競争条件をゆがめている懸念がある」との見方を示していた。

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