経営難のマイヤー造船所を国が支援へ、ショルツ首相が本社訪問

ドイツのショルツ首相は22日、経営難に陥っているマイヤー造船所のパッペンブルク
本社を訪問した。従業員集会で演説し、「マイヤー造船所を見殺しにはしない」と明
言。同社支援の一翼を国が担うことに意欲を示した。
マイヤーはクルーズ船の建造に強みを持つ老舗造船会社。コロナ禍で新規受注がほぼ
途絶えたうえ、鉄鋼価格が大幅に上昇したことから経営が急速に悪化した。顧客との
契約に調達コストの上昇を反映させる条項がなかったことが大きな打撃となってい
る。
最近はディズニーからクルーズ船4隻の受注を獲得し、受注残高が110億ユーロに急増
するなど状況は改善している。だが、顧客が支払う頭金は契約総額の通常20%にとど
まり、残りは引き渡し時に受け取ることから、建造期間中の資金繰り確保が大きな課
題として浮上している。自己資本が減り、取引先銀行が融資をためらっているため
だ。
政府関係者が地方紙『ライニッシェ・ポスト』に明らかにしたところによると、この
問題を解決するため、国と地元ニーダーザクセン州は総額4億ユーロの出資を行うほ
か、融資保証を引き受ける。これを受け銀行は20億ユーロ超の融資を行う。国と州の
出資比率は少なくとも80%に達し、同社は一時的に国有化されることになる。
支援に向けた協議は現在、詰めの段階にあり、9月半ばまでに合意が成立する見通
し。支援を実施するためには議会と欧州連合(EU)欧州委員会の承認が必要となる。
マイヤーの従業員数は3,000人に上る。サプライヤーやサービス事業者を含めると1万
7,000人の雇用が同社に依存しており、連邦政府も州政府も支援に前向きな姿勢を示
している。

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