マイヤー造船所の公的支援を欧州委が承認

欧州連合(EU)の欧州委員会は5日、資金難に陥っている独マイヤー造船所をドイツ
政府と地元ニーダーザクセン州政府が出資などを通して支援する計画を承認したと発
表した。両政府とも造船分野で事業を行っておらず、競争上の懸念はないと判断し
た。
マイヤーはクルーズ船の建造に強みを持つ老舗造船会社。コロナ禍で新規受注がほぼ
途絶えたうえ、その後の高インフレで鉄鋼価格が大幅に上昇したことから経営が急速
に悪化した。顧客との契約に調達コストの上昇を反映させる条項がなかったことが大
きな打撃となっている。
最近はディズニーからクルーズ船4隻の受注を獲得するなど状況は改善している。だ
が、顧客が支払う頭金は契約総額の通常20%にとどまり、残りは引き渡し時に受け取
ることから、建造期間中の資金繰り確保が大きな課題として浮上している。自己資本
が減り、取引先銀行が融資をためらっているためだ。
国とニーダーザクセン州はこの事態を打開するため9月、マイヤーの資金繰り支援を
取り決めた。それぞれ2億ユーロを出資し、同社の資本を計80.73%取得。また、信用
保証を通して総額26億ユーロの銀行融資を受けられるようにする。貸し倒れが発生し
た場合は、その80%を国と同州、残り20%を融資行が負担することになる。

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