ドイツ連邦統計局と連邦経済省が5日に発表した10月の製造業新規受注指数(2021年
=100)は、物価調整後の実質に季節・営業日数を加味したベースで前月を1.5%下回
る89.0(暫定値)へと低下した。同指数の悪化は2カ月ぶり。前月は大型受注の効果
で大幅に押し上げられており、その反動が出た格好だ。大型受注を除いたベースでは
0.1%増と横ばいを保った。経済省は企業景況感の悪化などを踏まえ、製造業の景気
が持続的に回復する見通しは立っていないとの見方を示した。
新規受注を地域別でみると、国内が5.3%減と振るわなかった。国外は0.8%増。国外
の内訳はユーロ圏(ドイツを除く)が7.6%減、ユーロ圏外が6.3%増だった。
指数を見ると、国内は79.0と極端に低かった。内需の弱さを反映し、基準年の21年
(100)を21%も下回っている。ユーロ圏は90.6、ユーロ圏外は99.6だった。
数値の変動率を部門別でみると、投資財は3.6%減となり、足を強く引っ張った。大
幅増となった前月の反動でユーロ圏が16.1%減、国内が12.7%減と振るわなかった。
ユーロ圏外は10.6%増えた。
中間財は0.9%増加し、3カ月ぶりに拡大した。国内が3.8%、ユーロ圏が2.5%の幅で
伸びた。
消費財は4.2%増となり、2カ月連続で改善した。ユーロ圏が12.0%、ユーロ圏外が5.
7%増えた。
各部門の指数は中間財が81.1と特に低い。投資財は93.4、消費財は95.0だった。
業界別でみると、「その他の輸送機器」は7.0%減少した。前月は大型受注の効果で
175.7%増えており、その反動が大きい。機械(7.6%減)、自動車・自動車部品(3.
7%減)、電気装置(2.7%減)、医薬品(0.8%減)、化学(0.4%減)も落ち込ん
だ。金属製造(10.2%増)、データ・電気・光学機器(8.0%増)、金属製品(4.1%
増)は大きく増加した。
9月の製造業新規受注は当初の前月比4.2%増から同7.2%増へと大幅に上方修正され
た。造船業界の大型受注が事後的に報告されたことが背景にある。
新規受注を特殊要因によるブレが小さい3カ月単位の比較でみると、8〜10月は前期
(5〜7月)比で2.7%増加した。大型受注を除いたベースでは0.7%減少した。
10月の製造業売上高(暫定値)は物価調整後の実質に季節・営業日数を加味したベー
スで前月を1.2%下回った。9月については当初の1.4%減から1.1%減へと上方修正さ
れた。