2017/4/26

総合・マクロ

ガスプロムほか5社が資金協定調印、ノルドストリーム拡張で

この記事の要約

ロシア国営ガス会社ガスプロムは24日、ロシアとドイツを直接結ぶバルト海天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム」の拡張計画(「ノルド・ストリーム2」)に必要な費用の調達に関連し、欧州の提携先5社と資金協定に調印した。ガス […]

ロシア国営ガス会社ガスプロムは24日、ロシアとドイツを直接結ぶバルト海天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム」の拡張計画(「ノルド・ストリーム2」)に必要な費用の調達に関連し、欧州の提携先5社と資金協定に調印した。ガスプロムが費用の50%、欧州5社がそれぞれ10%を負担する内容で、ポーランド競争当局の反対で暗礁に乗り上げた拡張計画が再始動する。

資金協定によると、ドイツのBASF子会社ヴィンタースハル)、エーオン子会社ユニパー、墺OMV、英蘭系シェル、仏エンジーがそれぞれ最大9億5,000万ユーロを拠出する。これにより、予定総工費95億ユーロの半分がまかなえる。残りはガスプロムが負担する。

今回の拡張計画は、既存の送ガス管2本に加え、新たに2本を敷設するものだ。年内着工、2019年完工が予定されている。稼働すると年間輸送能力は現行の2倍に当たる1,100億立法メートルへ増加する。

ガスプロムと欧州5社は当初、ガスプロムが51%、エンジー9%、その他4社が各10%を出資する合弁事業として新パイプラインを運営する計画だった。しかし、ポーランドで合弁会社の企業登録を申請したところ、同国競争当局(UOKiK)に却下されたため、昨夏以来、合弁ではない提携の形を模索していた。今回の合意で、スイスに拠点を置くプロジェクト会社「ノルド・ストリーム2」はガスプロムの完全出資会社とし、提携企業が同社に資金を供与する形が決まった。

ノルド・ストリームはロシア産天然ガスを従来の輸送経路である東欧諸国を迂回してドイツに運ぶもので、拡張計画には関連諸国が反発している。また、ロシアへのエネルギー依存度低下を目指す欧州連合(EU)も「市場自由化のルールに抵触する」として反対姿勢をとっている。