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「富の再分配でなく成長政策を」=5賢人委、減税などを提言

2017年11月15日発行 No.1163号

政府の経済諮問委員会(通称:5賢人委員会)は8日、メルケル首相に提出した秋季経済予測で、堅調な経済が続く現在を政策見直しの好機と捉え、将来の課題への対策に取り組むよう提言した。「母親年金」や「63歳年金」など社会保障を重視した現政権(9月の選挙で議会の信任基盤がなくなった大連立政権)の政策からの転換を次期政権に迫った格好で、富の再分配よりも成長に照準を合わせた政策を促している。

ドイツは2008年秋のリーマンショックに伴う金融・経済危機から速やかに回復し、その後はほぼ一貫して経済成長が続いている。この結果、連邦(国)と州、市町村、社会保険機関を合わせたドイツ全体の財政収支は12年以降、黒字を計上。今年は黒字幅が昨年の237億ユーロから313億ユーロに拡大する見通しとなっている。

5賢人委は税収拡大の背景には好景気のほか、税・社会保険料の負担拡大があると指摘。納税者負担の軽減を提言した。具体的には所得税の累進緩和と東部ドイツの支援を目的とする連帯税の段階的な廃止を促した。労使が折半する失業保険料の料率についても現行の3%から2.5%への引き下げが可能だとしている。

少子高齢化の進展で就労人口が減り、専門人材不足が深刻化する問題については、保育施設の拡充などを通した仕事と家庭の両立支援や、専門技能を持つ移民の活用、在留資格を獲得した難民の労働市場への統合を通して対処することを促した。

同委はまた、モノのインターネット(IoT)の進展を受けて経済・社会の構造が大きく変わることを踏まえ、技術革新を促進するルールを制定するとともに、就労者が最新技術に対応し続けられるよう教育・再教育体制を拡充することが重要な政策課題になると指摘した。

IoT社会の前提となる大容量高速通信網に関しては、基本的に民間投資を通して実現するよう提言した。また、デジタル化進展の障害となる規制の見直しに向けて専門の委員会を立ち上げるべきだとしている。

欧州中央銀行(ECB)の金融緩和政策に対しては、これまでに引き続き批判を展開した。ユーロ圏経済の安定とデフレリスクの遠のきを受けて緩和継続の必要性がなくなっているうえ、弊害も見過ごせなくなっているためだ。具体的には◇住宅と債権を中心に資産価格が過剰に膨らんでいる◇金利が今後、急速に上がると長期金利で融資を行う銀行が痛手を受けるうえ、財政悪化国の資金調達コストも大幅に上昇する――を挙げた。

5賢人委は今回、ドイツの今年の国内総生産(GDP)成長率を春季予測の実質1.4%から2.0%へと大幅に引き上げた。個人消費に加え企業投資も景気の大きな柱となっているためで、来年は2.2%へとさらに加速するとみている。外需は今年も来年もGDP成長に寄与しない。(表を参照)

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