ロシアの国営ガス会社ガスプロムがEU競争法に違反している疑いが強まったとして、欧州委員会が同社に異議告知書を送付した問題で、ガスプロムが26日、巨額の制裁金を回避するため、欧州委に和解に向けた改善策を提示したもようだ。数週間以内に正式な和解案を欧州委に提出する見通し。欧州委は利害関係者から意見を聞いて市場分析を行い、ガスプロムの提案を受け入れるかどうか判断する。
欧州委は2012年、ガスプロムが中東欧市場での独占的な地位を乱用し、ガス価格を不当につり上げるなどして公正な競争を阻害している可能性があるとして、本格調査を開始。ポーランド、チェコ、ハンガリー、スロバキア、ブルガリア、リトアニア、エストニア、ラトビアの計8カ国のガス市場で独占的な地位を乱用し、公正な競争を妨げたとの暫定的な見解をまとめ、昨年4月に競争法違反に対する是正手続きの第1段階にあたる異議告知書をガスプロムに送った。
欧州委によると、ガスプロムは同社から天然ガスを購入する顧客企業が他の国に再輸出することを禁止したり、購入したガスを特定地域で使うよう強制している疑いがある。さらに◇ブルガリア、ポーランド、エストニア、ラトビア、リトアニアの5カ国でガス価格を不当につり上げている◇ブルガリアとポーランドで、ガスプロムが進めるパイプライン敷設計画に両国政府が投資するか、国内パイプライン網の同社の支配権強化を認めることをガス供給の条件にしている――という問題も指摘している。
ロイター通信などによると、ガスプロムのメドベージェフ副社長は26日にブリュッセルで行われた欧州委のベステアー委員(競争政策担当)との会談で、和解に向けた改善策を提示。各国の元売り業者に再輸出を禁止する条項を天然ガス供給契約から削除するほか、ポーランドなど5カ国における料金設定の見直しなどが含まれているもようだ。